Modes of Inquiry

どう問う

「当たり前」は、その世界のルール。
時代が違えば、地域が違えば、ルールも変わる。
だから、現代のあなたの「正解」は、当時の人の正解とは限らない。

まず、その人たちの当たり前(価値観)を探ろう。
その上で、確かな視点で読み解こう。

図表・データの読み取り(準備中)
図表やデータの読み取り方(今後拡充予定)
Under construction
Section 0

歴史を学ぶって、「人に思いを致す」こと

歴史は、人物名や年号を覚えることだけじゃない。
本当は、その時代を生きた人の気持ちや価値観に近づくことだ。

でも、人の気持ちは現場の「空気」から生まれる。その空気は、だいたい次の3つでできている。

🌍

自然環境

気候、地形、水、災害、資源

🏛️

社会環境

制度、経済、交通、技術、ルール

👥

人的環境

人の役割、集団のしくみ、力関係

つまり、歴史を深く理解するには、地理の学びが不可欠になる。
だからCreate GBMは、地理×歴史を一緒に学ぶことを大事にしている。

具体例で考えよう
あなたの毎日の行動や考え方に影響を与えている「環境」を3つ書こう。
例:学校の校則/スマホの通知/天気/家族との会話/地域の行事…
Section 1

当たり前スキャナー:いつ?どこ?だれ?ほんと?

Create GBMがいちばん大事にしている道具が、これ。4つの問い(レンズ)で、当たり前を見直す。

Time

いつ?

その当たり前は、いつの当たり前?

Place

どこ?

その当たり前は、どんな場所の当たり前?

People

だれ?

だれにとっての当たり前?(得する/困る)

Evidence

ほんと?

それって何で言える?根拠は?

ポイント

当たり前を「正しさ」だと思うと、ケンカになる。当たり前を「ルール」だと思うと、理解が進む。

1-1. いつ?(Time)— 過去は別ステージ

過去は、いまより不便だった…だけじゃない。ルールそのものが違うことがある。

具体例で考えよう
いまの当たり前を1つ選んで「100年前だったら?」と書き換えてみよう。

1-2. どこ?(Place)— 場所が変わると「合理」が変わる

雨が少ない場所と多い場所では、水の使い方が違う。これは「好み」じゃなく、生きるための合理で決まることが多い。

具体例で考えよう
「海の近く」「山の中」「大都会」どれか1つを選び、そこでの生活の当たり前を1つ書こう。

1-3. だれ?(People)— 同じ世界でも、立場で見えるものが変わる

同じ出来事でも、立場が違うと見え方が変わる。だから探究では、「だれの視点」かを必ず決める。

具体例で考えよう
「新しいショッピングモールができる」を「近くに住む住民」「商店街の店主」「市役所の担当者」の3つの立場で見たら、困りごとはどう変わる?

1-4. ほんと?(Evidence)— 「それっぽい」より「たしかめる」

探究で大事なのは、「言い切ること」より「確かめ方を持つこと」。

地図・絵図
記録
法律・お触れ
統計
写真・絵
具体例で考えよう
「いつ/どこ/だれ」を決めて、さっき考えた“生活の当たり前”が本当か確かめるなら、どの資料(地図・記録・法律・統計・写真など)を1つ使う?
Section 2

探究の進め方:8ステップの地図

探究は「思いつき」ではない。進め方の地図があると、迷子になりにくい。

1
ひらくOpen

「え、なにそれ?」の入口に出会う

2
ひたるImmerse

世界観を浴びる(地理・歴史の背景)

3
さぐるExplore

当たり前スキャナーで問いを増やす

4
きめるIdentify

いちばん良い問いを1つに絞る

5
あつめるGather

根拠を集める(証拠を拾う)

6
つくるCreate

説明・作品・提案にする

7
みせるShare

だれかに見せて意見をもらう

知の宝庫
8
ふりかえるEvaluate

問いと作品を直す(改善)

知の宝庫

探究には「モヤモヤの谷」がある(これが普通)

探究は進むと、いったん分からなくなる。それは失敗じゃない。正常

  • 情報が多すぎて混乱
  • 何が大事か分からない
  • いまの問いが広すぎる気がする
具体例で考えよう
いまのモヤモヤを1つ選んで名前をつけよう。例:「情報が多すぎモヤモヤ」
Section 3

問いは「増やす」より「育てる」(v1→v2→v3)

問いは最初、ざっくりでOK。でも、ざっくりのままだと調べても答えが出ない。だから問いを育てる

問いが育つときに起きること

条件が入る
いつ/どこ/だれ
比較が入る
AとB
根拠が取れる形に
何を見れば確かめられる

例(江戸の火事で問いを育てる)

v1
江戸で火事が多いのはなぜ?
最初の問い(ざっくり)
v2
江戸の町人にとって、木の家が当たり前だった理由は?
「だれ」と「当たり前」を足した
v3
江戸の中心部で、火事が増えた理由は「家の密集」と「風」のどっちが効いた?
「どこ」と「比較」を入れて検証可能に
具体例で考えよう
あなたの問いv1を1つ書いて、(いつ/どこ/だれ)を1つ足してv2にしてみよう。
練習して伸ばす

「問いを育てる力」を、ミッションで身につけよう

事例に沿って v1→v2→v3 を実際に作ると、問いが“調べられる形”に変わっていく感覚がつかめる。

Section 4

根拠(Evidence)の使い方

探究で大事なのは「答えを言い切ること」じゃない。
「なぜそう言えるの?」に答えられることだ。
そのために必要なのが根拠(Evidence)。でも、根拠には「強さ」がある。

根拠には「強さ」がある:一次資料と二次資料

🥇
一次資料(いちじしりょう)

その時代・その場所で作られた「生の記録」

  • 古文書、日記、手紙、公式記録
  • 当時の地図、絵図、写真
  • 統計データ(国勢調査など)
  • 遺跡、建物、道具などの実物
強み

「その時」の声に近い。加工されていない。

🥈
二次資料(にじしりょう)

一次資料をもとに、あとから作られた「まとめ・解説」

  • 教科書、参考書、百科事典
  • 解説動画(NHK for Schoolなど)
  • 研究者が書いた論文・本
  • ニュース記事、解説サイト
強み

わかりやすい。全体像をつかみやすい。

探究の基本ルール

二次資料で「全体像」をつかみ、一次資料で「裏を取る」
これが探究の王道パターン。最初から一次資料だけで進めると迷子になりやすい。
でも、二次資料だけで終わると「だれかの解釈」を借りただけになる。

スムーズに調べるために

一次資料は一人だと詰まりやすい。
先生や図書館の司書さんの力を借りながら進めよう。
専門家に聞くことで、見えなかった道が見えてくることが多い。

「知の宝庫」を使いこなそう

Create GBMの「知の宝庫」は、探究に使える資料を「レイヤー」で整理している。
レイヤーが深くなるほど、一次資料に近づく。

入口レイヤー(二次資料中心)

NHK for School、YouTube解説、教科書的まとめ → 全体像をつかむ

深層レイヤー(一次資料中心)

国土地理院、e-Stat、古地図、公文書 → 裏を取る・検証する

知の宝庫を開く

Evidenceカードの3行ルール

根拠は「持っていれば勝ち」じゃない。
どんな根拠にも得意なこと苦手なことがある。
だから、根拠を見つけたら必ずこの3つを書き出そう。

わかること
この根拠で見えること・言えること
わからないこと
この根拠だけでは言えないこと
⚠️
気をつけること
偏り・限界・見落としの可能性
例:江戸の絵図を根拠にする場合
  • わかる:町の配置、道幅、川の位置
  • わからない:実際の火事の広がり方、人の動き
  • 気をつける:絵図は「理想」を描くことがある(実態と違うかも)
具体例で考えよう
あなたのテーマで「二次資料」と「一次資料」を1つずつ挙げよう。
そして一次資料についてEvidenceカード(わかる/わからない/気をつける)を書いてみよう。
Section 5

地理×歴史:背景が分かると、人の気持ちに近づける

歴史を理解するって、実は「人の心を読む」ことに近い。人の心は、その人だけで作られない。土地の自然、社会のルール、時代の技術、その人の立場…こういう背景があるから選択が生まれる。

「氷山モデル」で考えてみよう

人の行動は、氷山の「見える部分」のようなもの。
でも本当に大事なのは、表面からは見えない「隠れた部分」だ。

表面的
深層(真意)
👀 出来事・行動
「〇〇した」「〇〇が起きた」(例:村が移動した/税が増えた/争いが起きた)
表に見える
🔄 パターン(くり返し)
「いつも〇〇する傾向がある」(例:自然=洪水の後に移動/社会=税が上がると方針が変わる)
表面上は見えない傾向
🏗️ 構造(しくみ)
自然環境(気候・地形・水・資源)/社会環境(制度・経済・交通・技術・ルール)/人的環境(役割・集団のしくみ・力関係)
見えない背景構造
💭 心の中の当たり前(価値観・前提)
「〇〇が普通」「〇〇すべき」(例:年上に従う/家の役割はこう/神や自然への考え方)
隠された思い・価値観
深掘りのチェックポイント

現代の当たり前を押し付けてない?/その時代の人の立場で考えてる?/「当然〜すべき」と決めつけてない?

探究のコツ

歴史上の「出来事」だけ見ても、なぜそうなったか分からない。
表面からは見えない「構造」や「当たり前」まで掘ると、人の選択が見えてくる。
そのためには、その人が生きていた自然環境・社会環境・人的環境を先に調べよう。

具体例で考えよう
「この人はなぜそうした?」と思う歴史の出来事を1つ挙げて、背景(自然/社会/立場)を1つだけ書いてみよう。
Section 6

歴史は「課題解決」として読める

歴史上の出来事は、かんたんに言えば課題解決だ。当時の人たちは、当時の条件の中で、なんとかしようとした。

問題の見つけ方(中学生版)

🎯
理想
こうなってほしい
📍
現状
でも今はこう
=
問題
その差が困りごと

問題から「課題解決」につなげる図(このページ版)

問題が見えたら、次は「どう動けばいい?」になる。
ここで大事なのが、当時の当たり前(条件)だ。

1
問題
困りごとが起きている
2
当たり前(条件)
時代・地域・技術・ルール
3
課題
この条件の中で何を優先する?
4
決断
どれを選ぶ?どれを捨てる?
5
行動・結果
住む/作る/変える…そして結果が残る

歴史の「出来事」は、決断と行動の結果として残る。
だから探究では、問題→条件→課題→決断の順で考えると、話がつながる。

さらに大事:まず「当時の当たり前」を前提にする

私たちはつい、現代の常識で「なんでそうしたの?」と考えてしまう。
でもそれだと、当時の人の決断が見えにくくなる。
まずは当時の当たり前(条件)を集めて、「その条件の中なら、どんな選択が合理的?」と考えよう。

いつ?
技術は?人口は?
どこ?
地形は?気候は?
だれ?
立場は?役割は?
ルール
決まり・価値観は?

例:縄文遺跡が高台にあるのはなぜ?(課題解決として読む)

🎯 理想

食料のある場所に近く、便利に暮らしたい。できれば安定して暮らしたい。

📍 現状

川や海の近くは便利。でも洪水や高潮など、自然災害のリスクがある。

⚡ 問題

便利な場所を選ぶほど、災害リスクが上がってしまう。

当たり前(条件)
どこ?
低地は水に強くない。高台は水が来にくい。
技術
今みたいな堤防や排水設備はない。
生活
食料(貝・魚・木の実)に近い必要がある。
🎯 課題

便利さを残しつつ、災害リスクを下げるには、どこに住めばいい?

🧭 決断・行動(課題解決)

高台や舌状台地など、「水が来にくい」場所に住む。必要なら食料の場所へ通う。

結果として残るもの

高台に集落ができ、そこに遺跡が残る。だから「高台に遺跡が多い」が説明できる。

具体例で考えよう
あなたのテーマで「理想」と「現状」を1行ずつ書いて、差(問題)を1文で書こう。
そのあと「当時の当たり前(条件)」を2つ書いて、課題(この条件の中で何を優先する?)を1文にしよう。

読むだけで終わらない。

ミッションモードで、事例を通して体験しよう。

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